(11)会計処理は複数存在している?

簿記3級講座

今回は簿記3級の範囲じゃないけれど、知識の裏づけのために一読お願いします。

はい。

例えば全く同じ内容の取引をしたとしても、A会社は①という会計処理をして、B会社は②という会計処理をする。こういうことは普通にあり得ることです。

同じ取引をしているのに、仕訳が違うってこと?

そういうことです。

そんなことをしたら利益とか変わってきちゃうんじゃない?

その通りです。全く同じ取引をしている2つの会社があったとしても、その両者の利益が同じになるとは限らないのです。

ええ~。そんなのっておかしいよ! だって会計は正しく示されないといけないんでしょう? 新聞とかニュースで粉飾何とかで逮捕ってやってたよ?

粉飾決算だね。あれは架空の取引とかをでっち上げているから問題なんです。上場企業は株主など投資家からの圧力が結構あるからね。多少無理してでも利益を多く見せようとする傾向があるんだ。それの行き過ぎが粉飾決算というやつだね。あれは嘘をついているからダメなんです。

会計処理の話に戻りましょう。一つの取引に複数の会計処理の方法を選択することができる。
何故こんなことが許されるのか?

それは会社と一言にいっても、会社の業態は実に様々だからです。
製造業のように機械、建物など大型の初期投資を必要とする会社やソフト開発やネット関連のサービス会社のように初期費用があまりかからない会社、流通業のように初期費用は少ないけれど扱う商品が多く利幅が小さい会社などなど。

これら全てに適応できる画一的な会計処理方法があればいいのですが、残念ながらありません。だから複数の方法を用意してそれぞれに相応しい処理方法を採用するべきなのです。

そんなわけで一つの取引に対して複数の仕訳方法があったり、計上する金額が数パターンあるわけです。ただ、全ての取引について代替的な処理方法があるわけではありません。あくまで一部です。

同じ取引をしているのに利益が異なるならどうやって会社間を比較するの?

利益だけを見て評価するのはちょっと危ないですね。前期の財務諸表と比較しながら、キャッシュフロー、資産の増減、売上高の推移、利益の上昇率、総資産利益率、投下資本利益率などなど、色々な側面から見ていくとその企業の本当の力が見えてきます。

経営者がある一点を良く見せようとすると、他の部分にその歪みのしわ寄せが現れるから、そこを見つけることができるようになると相当会計の実力が身についたって言えるんじゃないかな。

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