(5)付随費用(ふずいひよう)

簿記3級講座

付随費用とは?

さて商品売買の基本が分かってもらえたところで、もう一つ。仕入の価格はどうやって決めましょう?

どうやってって、そりゃ仕入先との交渉じゃない?

うん。それはそうですね。でも商品を仕入れると言っても、商品自体の価格以外にお金がかかることがあります。それはどうしたらいいのかなって話です。

ありゃ、そんなことがあるの?

じゃあいつも通り例を挙げてみましょう。

例:一つ100円のリンゴを100個仕入れ、代金を現金で支払った。

仕訳

(仕入) 10,000 / (現金) 10,000

普通に考えたらこんな仕訳になります。しかしリンゴを100個っていったら結構な量です。運ぶのも一苦労しそうです。なので自分で引き取りにいくのではなく、運送してもらうことにします。別途運送費1,000円かかりました。

例:一つ100円のリンゴを100個仕入れ、運送費1,000円とともに代金を現金で支払った。

仕訳

(仕入) 11,000 / (現金) 11,000

仕訳はこうなります。運送費がリンゴの値段に加算されています。リンゴそのものは店では@100円でしたが、実際に手に入れるためには運送費も必要なのだから実質リンゴの仕入れ値は@110円という風に考えます。

こういった商品自体の値段以外の購入時にかかる諸費を外部副費と呼びます。引取運賃や購入手数料、関税などがあります。これは必ず購入原価に加算されます。

おそらく簿記3級レベルでしたら、ここまで理解していれば問題ありません。「商品を取得した際にかかった諸費も取得原価に算入する」これさえ分かっていれば大丈夫。

とりあえずここまでが簿記3級レベルです。ここから簿記2級、1級レベルの話を少しします。今は必要ないかもしれないけれど、知識の裏づけになるから少しだけします。蛇足的な話なので難しければ飛ばして構いません。

ほう。

簿記2級、1級で問われる付随費用

さてリンゴ100個を購入しましたが、これを一時的に保管するために近所の会社の大型冷蔵庫を借りることにしました。保管料として2,000円支払うことになります。

例:一つ100円のリンゴを100個仕入れ、運送費1,000円とともに代金を現金で支払った。
さらに保管費2,000円を現金で支払った。

仕訳

(仕入) 13,000 / (現金) 13,000

もしくは、保管費は別に考える場合があります。

仕訳

(仕入) 11,000 / (現金) 13,000
(保管費)2,000 /
*保管費以外の勘定を使うこともあります。

このように商品を仕入れてから販売するまでの間にも、いろいろと費用がかかります。これらのことを内部副費と呼びます。

発生箇所で分けて2種類の発生原因があります。仕入時にかかる費用を外部副費。販売までにかかる費用を内部副費と呼びます。これらをまとめて付随費用(または副費)と呼びます。付随費用=外部副費+内部副費です。

上記しましたが、仕入時にかかる費用(外部副費)は必ず仕入勘定に加算します。ですが内部副費に関しては、その費用の全部または一部を仕入れに含めず別の費用に計上しても構いません。というか、むしろ含めないのが一般的です。

えーなんで?

これは仕入れた商品の売上までにかかる費用が特定しづらいことが理由です。外部副費は仕入時に判明するので把握しやすいですが、一旦仕入れた商品が一体いつ販売されるのかは明確ではありません。それまでにかかった内部副費を的確に商品原価に算入することが困難なため、内部副費は仕入原価に含めなくてもいいと決められているのです。

 

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